01.25 『姫様ご用心』に花束を


 コヌラボの更新をサボっている間に、ご紹介しそびれてしまいました。
 昨年の4月から7月までWOWOWで放送されたアニメ『姫様ご用心』に脚本で参加させていただきました。監督が『ギャラクシーエンジェル』の高柳滋仁さん、主演もこれまたGAミルフィーユ桜葉役の新谷良子さんということで、内容もGA同様のスラップスティックコメディです。

 私が参加させていただいたのは第5話からですが、それ以降の6エピソードを書かせていただき、最終回の執筆もさせていただくという栄誉に浴した非常に印象深い作品です。今時珍しい完全オリジナル作品ということもあって、のびのびと(あくまで原作者である高柳監督と綿密な打ち合わせをした上で、ですが)自由に書かせていただきました。スラップスティックコメディの本筋を守りつつ、第6話『ニャンコの国のナーナ』や終盤の展開はちょっとドラマ仕立てにして自分の好きな世界を思う存分書くことができました。これぞ古怒田健志のシナリオ作品として、ぜひ見ていただきたい作品です。

 しかし放送がWOWOWのみということもあり、あまり多くの方に視聴していただけなかったのが非常に惜しい。かくいう私自身もWOWOWを見られる設備がないので、放送は見ることができませんでした。
 しかし、DVDも最終巻まで出揃いましたので、ぜひ放送をご覧になれなかった多くの方に見ていただきたいと思います。個人的なオススメはやっぱり『ニャンコの国のナーナ』かな。もちろん他のエピソードも大変面白いので、ぜひ。全13話なので、すぐに見れちゃいますよ。

 

 さらにオススメなのが、私が脚本を担当させていただいたこちらのドラマCD『姫様と9つの王冠』です。脱力系、投げっぱなしとなんでもありのギャグの応酬で、ある意味アニメ以上に姫様の世界観を楽しんでいただける作品と自負しています。新谷さんの他、宮崎羽衣さん、多田野曜平さん、千葉千恵巳さん、沢城みゆきさん、吉住梢さん、鳥海浩輔さん、かないみかさん、そして若本規夫さんと、めちゃめちゃ豪華な声優陣の素晴らしい演技をぜひともご堪能下さい。


01.24 THE DOOR IN THE FLOOR

昨日から続いて映画の話題です。

 ジョージ・ロイ・ヒル監督、ロビン・ウィリアムズ主演の『ガープの世界』は、これまで自分が見た映画の中でベスト5に入る、大好きな映画です。

 原作は、アメリカ現代文学の巨匠と呼ばれるジョン・アーヴィング。『ドア・イン・ザ・フロア』はその近作である『未亡人の一年』の2004年の映画化作品です。『ガープ』の感動を期待して、DVDを取り寄せ、見てみました。実はまだ原作を読んでいる最中だったのですが、今回の映画化は長大な原作小説の前半部分のみを映像化しており、読み終わる前に見てしまっても、問題ないと思えました。果たして『ドア・イン・ザ・フロア』は『ガープ』同様の傑作足り得たのか?

 結論から言えば、ジョージ・ロイ・ヒルという映画監督がいかに偉大な存在であるかを思い知らされました。原作は同じアーヴィングでも、監督がちがうとこうも違うのかと。

 トッド・ウィリアムズなる新進監督の演出は、巨匠ヒルの足元にも及びません。まあ、しかたないと言えばそれまでなのですが、あまりにもセンスがなさ過ぎる……。
 1958年のロングアイランドを舞台にした作品なのに、予算がなかったのか、その方がいいと思ったのか、時代設定を現代に変更。しかしこれは原作の持つ味わいを半減していたと思います。

 また、キャスティングもいけません。女たらしの絵本作家・テッド役にジェフ・ブリッジス。ラウレンティス版の『キングコング』は嫌いじゃないけど、自分としてはもっとハンサムで色気のある中年男を期待していたんですが……。
 そして、39歳でありながら非の打ち所のない美貌の持ち主であるマリアン役を、キム・ベイシンガーが演じているのですが、これにまたガッカリです。キム・ベイシンガーでは、16歳の男子校生が一目惚れしてしまう説得力がありません。原作には10歳は若く見えると書いてあるのに、逆に10歳老けて見えます。
 この二人の組み合わせって、特に根拠はないのだけど、映画というよりテレフィーチャーっぽいお手軽さを感じます。ロビン・ウィリアムズ、グレン・クローズと芸達者が揃った『ガープ』と比較するのは酷な気がするけれど、もうちょっと魅力的なキャスティングで見せて欲しかったなぁ……。

 アーヴィングならではのシニカルな視線をどう表現するのか、期待して見ましたが、ちょっと残念な出来でした。映画になったというだけでも一応楽しめましたが……。

 幸い原作小説はまだ半分しか読めておらず、まだ当分は楽しめそうです。


01.23 Fight Club

 今さらながら、1999年のデヴィッド・フィンチャー監督作品『ファイト・クラブ』を見ました。
 
 『ガイキング』を執筆していた頃、長谷川圭一さんからよく「そんなエドワード・ノートンみたいな顔して」とからかわれました。どうやら私は酒に酔うとエドワード・ノートンに似た顔になるらしい(笑)。らしいというのは、恥ずかしながら、今までノートンの出演している映画を見たことがなかったから。この映画を見て、どれだけ似ているのか自分で確かめてみようと思ったわけです。

 結論から言えば、人様はどう思うか知らないけれど、自分の主観としてはなるほどよく似ているなと思いました。特に、情けない顔をしているときのノートンはとても他人とは思えなくて(笑)、おかげでこの作品の主人公にもたっぷりと感情移入することができました。

『ファイトクラブ』は、暴力によって自己の存在を確かめながら狂気に取り憑かれていく男の映画で、その激しさから公開当時賛否両論を巻き起こしたというのも頷けます。あまりにも暴力的だとか、テロリズムを礼賛しているとかというのがこの映画に否定的な人たちの評判のようですが、私は大変気に入りました。

 私も暴力はキライです。世の中には先天的に腕力が強く、暴力以外に生きるための手段を知らない(ジャイアンがそのまま大人になったような)人種がいて、そういう暴力の得意な人たちを礼賛する作品(安っぽいヤクザ映画とか)には反吐が出ます。しかし、この映画はそうではない。どちらかというと、暴力が苦手で、それでも男という動物が本来最低限持っていなければならない暴力性への憧れを捨てることができない人間を描いているから、暴力の扱いは非常にデリケートだし、安心して没頭することができます。暴力に無自覚でいることは大変危険だけれど、この映画は暴力に対して非常に自覚的です。
 原作を読んでいないので、どこまでが映画のオリジナリティーなのかは不明ですが、暴力に対してコンプレックスを抱いた人間による暴力映画という意味で、非常に面白い作品だと思いました。

 そして、やはりこの映画の本当の価値は、ブラピの匂うような男の魅力とノートンの演技の素晴らしさにあるのでしょう。この名優エドワード・ノートンに似ていると言われるのならば、それがたとえ酔ったときの情けない顔限定だったとしても、悪い気はしません(笑)。彼の代表作といわれる『アメリカンヒストリーX』も見なくちゃだな。

 まったくもって余談ですが『ファイトクラブ』を検索して見つけたこのサイト(映画のネタを知ってる人だけClick!)には笑いました。痩身クリニックから人間の脂肪盗んだりしてない……よね(笑)。


01.22 D-SPEC...What?

 アルファベット・ヘヴィというタバコを吸っていたつもりが、いつの間にかディースペック・ハードというタバコを吸っていました。。。(^^; 最近リニューアルされたらしいです。コンビニのおじさんが教えてくれたから良いようなものの、デザイン自体はほとんど変わっていないので、自販機で買ってる人などは気付かずにそのまま……ということもあるんだろうなぁ。
 D-SPECというのは匂いが洋服などに付かない新技術らしく、それは良いのだけど、だったら、アルファベットD-SPECとかいう名前でもよさそうなものを、タバコの名前そのものを変えてしまうっていうのはどうなんでしょうね。まあ、アルファベット自体、発売以来さほどの人気が出ることもなく、いつ淘汰されてもおかしくない状態でしたから、なくならずにリニューアルで済んだだけでもよしとしなければいけないのでしょうが……。
 あと、タールの量が10mgから12mgに増えているので、気にする人は気にするのかなと思います。だからHEAVYがHARDになったのね……(^^;
 この『H』は箱の色がわずかに明るくなっているんですが、鮮やかな緑色だったアルファベット『C』は、パステル調のグリーンに変更されていて、前の色が好きだった人にとっては辛いリニューアルになっています。自分は、もしこの『H』が鮮やかな赤ではなくてピンクかなんかになっていたら、吸うのをやめていたかもしれません。
 できれば、前のパッケージと新パッケージの画像をJTのサイトから引っ張ってきてお話ししたかったんですが(^^;、どうもタバコの宣伝は規制が厳しいらしく、わざわざ成人であることを証明して会員にならないと、JTのタバコのページには入れないようになっていました。WEB上にもタバコのパッケージの画像はほとんど見あたらないし……。毎度のことながら、どうしてそこまで神経質になるのか、理解に苦しみます。

おまけ

先日ご紹介したこの車の写真をじいっと見ていて……。


こいつにそっくりなことに気がついてしまいました(笑)。
似てると思いませんか? 特に鼻のあたり。
これで牙が生えて角が付いていたら、取り替えてもわからないと思いますw





脳波怪獣ギャンゴ
ウルトラマン『宇宙から来た暴れん坊』より
Illustrated by Konuta Kenji


01.21 月も火星もはるかにこえて

 前から欲しかったユニファイブのロボット・ハック。秋葉原に行ったら安く売っていたので買っちゃいました。懐かしのブリキロボットみたいな風体が最高にイカスんですが、後続作品に登場するキングジョーやユートム、ウインダムなどを思うと、1968年当時でもすでにレトロだったんじゃないかという気がしてなりません。いや、セブンのロボットが先進的すぎるのかな。
 このシリーズ、メタリノームを持っていますが、シュアな造型、手ごろな価格で良いですよね。あとシュピーゲル号が欲しいので、どなたか、定価以下で売ってるところがあったら教えて下さい。

 以下は『キャプテン・ウルトラ』とも玩具ともなんの関係もない話なのですが。

 みずほ銀行のCMで、銀行員が学校に行って子どもたちに金融教育をするというものがありますよね。私、あれには大いに疑問を感じます。
 先日、日銀の追加利上げ見送りがニュースとして報じられました。世の中にはキャリートレードというものがあって、ズームイン朝の辛坊治郎さんによると、例えば金利の安い日本で100億円借りるとします。それを金利の高い海外の金融機関に預けると、10パーセントの金利なら、一年後に110億円になって帰ってきます。日本で返さなければならないお金は、金利5%で105億円ですから、なんにもしなくても、一年で5億円儲けることができるそうです。なるほど、金持ちというのはそうやって政府日銀とぐるになって、濡れ手に粟の商売……とすら呼ぶこともおこがましい金儲けをしているわけですね。
 今の世の中はいわゆる『額に汗して働く』ことよりも、楽して稼ぐことを美徳とする風潮がはびこっているような気がしてしかたありません。私の場合、お金というのは働いた分だけもらえるものと思っていて、宝くじも買ったことがないのですが、そういう考え方は流行らないのでしょう。みずほのCMも、将来自分の子どもにお金持ちになって欲しいと願う親には好評なのだろうと思います。しかし、子どもの頃から楽して稼ぐことばかりを教えたら、ろくな人間にはなりません。みんなが自分の手持ちの小銭を増やすことに躍起になったら、生活に本当に必要なモノやサービスは、いったい誰が作り、誰が請け負うのでしょう?
 このところ、賞味期限切れの原料でケーキを作ってしまったとか、清涼飲料水に異物が混入したとか、製造業の現場のネジがゆるんでいることを感じさせるニュースが次々と飛び込んできます。そういうメーカーの管理の甘さを庇うつもりは毛頭ないけれど、資産家の不労所得ばかりがもてはやされるような今の世の中で、現場で真面目にコツコツとモノを作るのが馬鹿馬鹿しくなったとしても不思議ではありません。
 
 資本主義は日本だけのことではないので、ある日突然やめることはできないけれど、自分のものでもない金を右から左へ流して上澄みを吸うような金儲けは卑しくて、ものを作ることこそが尊いのだという価値観を復活させなければ、いずれケーキもコーラも安心して口にできない世の中になってしまうのではないでしょうか。杞憂であればと思います。


01.18 Fightの意味は憎しみじゃない

 最近よく読む自動車雑誌の記事で、非常に共感するものがありました。いわく『最近のクルマの顔がコワイ』。
 少し前に、駐車場からクルマを出そうとして、バックミラーに映っていた後続車の顔があまりにも怖くてビビったことがあります。そのとき後ろにいたのが上の写真のBMW M5なんですが、どうです、コワイでしょ(笑)。その時は夜で、このヘッドライトが点灯すると、これがまた怖さ倍増なんですわ。

 BMWに限らず、国産車も最近のクルマの顔はコワイ。目つきが悪い。例えば……。


これとか……。


これとか……。


これも……。

 


これもかなり……。


クルマとしてはかわいいのに……。

 先述のBMWやプジョー、シトロエンなんかも非常に怖い顔が多くて、この国産車のルックスはそれらの影響を受けているのだと思うけど、実際、売れなければわざわざコワイ顔にしないだろうし、マイナーチェンジで顔を怖くしたら売れるようになったって話もあるらしいので、多くのユーザーがコワモテのクルマを求めた結果なんだと思います。中にはわざわざヘッドライトの上部に車体と同色のラインを貼って、目つきを悪くしている車までいるし。
 でもさあ、そんなにまでしてみんな、他人を威嚇したいんだろうか。
 それって、他者に厳しい最近の風潮を象徴しているようで、少しばかり寂しい気がします。電車に乗っていても、険しい顔をした人、多いものね。なんか、もっとみんながニコニコしながら過ごせる世の中になるといいのになぁ。そしたら、自動車の顔ももっと優しいのが売れるようになるんじゃないかと思うのだけど。


怖い顔、ではないのだけど、悪人面のホンダオデッセイ(中村さん、ごめんw)。
開発中からホンダ社内で『お代官様』と呼ばれていたというのもむべなるかな(笑)。


01.05 Housing development

 お正月に、10歳まで住んでいた団地に行って来ました。

 埼玉県某市にあるM団地は1963年(昭和37年)に入居開始、完成当時、東洋最大規模と言われたマンモス団地です。A地区〜D地区に区分されており、総戸数は5926。
 今思えばこの団地で10歳までの少年期を過ごしたことが、自分の情操形成に大きく影響を与えているようです。均等化と変化が絶妙に組み合わされた都市設計は、住居が狭いことを除けば、今見ても理想的な居住空間に感じられます。
 しかし、完成から44年、老朽化し時代に取り残されたような佇まいを残すこの団地は、すでに2015年までに再開発を終えることが決まっており、ほとんどの棟が取り壊されるといわれています。この正月、思いっきり自分の幼い頃の思い出に浸りながら、たくさんの写真を撮ってきました。その一部をギャラリー仕立てにしてみましたので、昭和の空気を感じてみたい方は、ぜひご覧になって下さい。

団地ギャラリーを見てみる


01.01 A HAPPY NEW YEAR

 明けましておめでとうございます。

 今年は亥年ということで、STAR WARS Episode6: Return of the Jediよりガーモリアン・ガード。とはいえ、あまりお正月に相応しい画像ではないかもしれない(笑)。

 猪と言えば猪突猛進という言葉がすぐに浮かびます。今年も昨年同様、仕事の上では猪突猛進、わき目もふらずに突き進んでいく所存。みなさまなにとぞ今年もよろしくお願いいたします。

 しかし、ふと目を世間に向けてみれば、様々なことがさらにさらに良くない方へ向かっている気がしてなりません。とくに強きを助け弱きを挫く昨今の為政者のみなさんの横暴振りには目を覆いたくなります。彼らにはこのまま突き進むのではなく、立ち止まり熟慮して、ほんとうにこの国を美しい国にするために必要なことはなんなのか、気が付いて欲しいものだと思うのだけれど、まあ無理なのだろうなぁ。

 自分が大切だと思うものを守るには、いかなる他者や公的制度をも信用せず、自分だけを頼りに戦う覚悟をしなければならなくなる、そんなシビアな時代の到来を予感する2007年の元旦です。