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横浜(DeNA)ベイスターズ・スポーツコミュニティが主催する親子キャッチボール教室という催しに参加するため、横須賀に行ってきました。
ベイスターズOBによる、少年のための野球教室で、事前に申し込むと抽選で参加出来るのですが、この日の講師陣がとにかくすごかった!
なんといっても写真のお方、最多勝2回、最多奪三振3回、沢村賞、最優秀投手に輝き、80年代を代表するエースとしてセ・リーグに君臨した遠藤一彦さんです。
この遠藤さんが大洋ファンの私にとってどれほどの神様であったか、小学2年生のうちの三男坊にどれだけ熱く語っても理解してくれないのはいささか寂しいのですが、とにかく保護者として参加している私自身が舞い上がってしまい、夢のようなひとときでした。
あまつさえ! この写真はキャッチボールのお手本を示しているところなのですが、このとき相手役として「そこのお父さん」と指名されたのがなんとこの私! 緊張しまくって腕が縮こまってしまい、一球暴投して遠藤さんに叱られたのもご愛敬。まさかこの歳になって、あの憧れの遠藤一彦とキャッチボールができるなんて。人生というのはなんと素晴らしいのでしょう。
そしてこちらは90年代のヒーロー、首位打者2回、最多勝利打点2回、98年横浜優勝時の日本シリーズMVPに輝くもう一人の神様、鈴木尚典!
トスバッティングとはいえ、往年のスイングを彷彿させるこのパワフルなフォーム! 反動のほとんどないトス打撃で、軟球を軽々とスタンドインさせる姿は、引退から3年も経つとは思えませんでした。この人の快打を期待してどれだけ横浜スタジアムの観客席で声を涸らしたことか。
遠藤さんにティーバッティングを指導してもらううちの三男坊。よもや自分の息子があの遠藤一彦に野球を教えてもらう日が来ようとは……。タイムマシンで過去に遡って10代の頃の自分に教えたらどんな顔をするのだろう?
とまあそんなわけでオールドファンの自分としては最高の一日を過ごしたわけですが、(息子も野球教室が終わった後、売り出し中の国吉投手をはじめとする現役選手のサインをもらって満足そうでした。念のため)現在のベイスターズのことを考えると、大変不安な気持になります。
生え抜きの不動の四番バッター・村田修一の放出、その代わりとして高齢で衰えを懸念されるラミレスを獲得、横浜球団とは縁もゆかりもない中畑新監督の就任、二軍で順調に選手育成に手腕を発揮してくれていた白井一幸氏の一軍昇格などなど……。新たな経営陣は、従来の横浜ファンの神経を逆なでするようなことばかり繰り返し、これではやくみつるがファン休止宣言をするのもむべなるかなといったところです。
野球がスポーツであるならば、本当はチームの優劣はグラウンドの中だけで、監督、選手の技量のみによって決められるべきなのですが、プロ野球が個別の営利団体によって経営される以上、そうも言っていられないのが現実です。
グラウンドで野球が始まる前に、選手ではなく経営者たちによってなされる「編成」という名の戦いがあり、その成果によってシーズンの勝敗の行方もある程度決してしまうというのがプロ野球の現状でしょう。現在ヒット中のアメリカ映画『マネーボール』を見るまでもなく、メジャーリーグでも事情は同じです。
だとしたら、DeNAという企業は、少なくとも読売新聞社と対等のマネーゲームをして勝つつもりでなければ、新規参入などするべきではないのではないかと考えます。シーズン前の「編成」というもう一つの戦いに勝とうともしないくせに、シーズンで結果を出せなどといわれても、監督、選手をはじめとする現場が可哀想なだけです。その意味で、村田はなんとしても残留させなければならなかったし、ソフトバンクのエース・杉内の争奪戦には、負けたとしても参戦しなければならなかったはずです。
……中畑監督の就任には断固反対でしたが、決まってしまった今となっては、こだわっていてもストレスがたまるだけなので、前向きに考えることにしました。かつて古葉竹識、森祇晶といった頭脳派の名監督を招聘したときに限って暗黒時代を迎えたチームです。反対に、大洋、横浜で成功した監督は、近藤貞夫、須藤豊、権藤博といった理屈ではなく勢いで戦うタイプの監督であったように思えます。どちらかというと、後者のタイプに当てはまるであろう中畑監督が、うまく化学反応を起こして、予想外の健闘を見せてくれることに一縷の望みを託そうと考えています。昔からのファンの神経を逆なですると書きましたが、新しい球団ロゴの発表の際には「継承と革新」をコンセプトとし、ロゴの書体を横浜大洋時代に戻したという説明もありました。新しい球団経営陣に、球団の歴史、その中で活躍した選手たちに対するリスペクトがあることを期待しつつ、新しいシーズンを待ちたいと思っています。