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06.27 JUMBOシナリオ専業になっても仕事がせっぱ詰まるとここの更新が途絶えてしまうのは毎度のことで。おかげで『ASTRO BOY 鉄腕アトム』第12話「よみがえったジャンボ」の話をするのがずいぶん遅くなってしまいました。まずはご覧になって下さったみなさん、本当にありがとう。未放映地区のみなさんも、ぜひご覧下さい。
で、今回は「ジャンボ」の話をしたいのですが、ちょっと長い話になります。まずは上の画像をご覧下さい。
去る4月21日に、関東地方でちょっと大きめの地震がありました。その時、私はちょうどPCで仕事をしていて、地震の情報を得ようとモニタ上にテレビ画面を開いたんです。その時映し出されたのが上の映像。どうやら水戸が震源に近かったらしく、水戸市街の映像が映し出されたのですが、気になるものが映ってるでしょ。画面の向かって右側!
なんというか、幾何学的にデザインされた竜巻というか、アバレンジャーのなにかというか(笑)、およそリアリティのない塔のようなものが建っています。もちろん地震のニュースですから、この塔に関する説明は一切なし。しかも塔の頂上部はテロップに隠されていて見えない。ぐわー、なんだこりゃ? 気になるーッ! ということであわててキャプチャして保存したのですが、その後調べもせず塔のことは謎のまま、つい最近までこの画像を保存していたことを忘れていました。さて、先日放送された「よみがえったジャンボ」。ジャンボのデザインや、目の色が変わる演出、人間との友情を描いたストーリーから、映画『アイアン・ジャイアント』を想起された方も多いかと思います。まあ確かに念頭にまったくなかったと言えばウソになりますが(汗)私がジャンボに託したのは別のロボットのイメージでした。
私の万博好きをご存知の方ならもうお察しと思いますが、私がジャンボに重ねたのは1970年の日本万国博覧会のお祭り広場にいたロボット「デメくん」です。実は2001年11月のコヌラボ4周年記念画像にこのデメくんをあしらっていて、全く説明しなかったのですが、それはこの時期に「ジャンボ」を書いていたからなんです。思えばもう1年半もまえに書いたシナリオなんですね。『アトム』はビッグプロジェクトですから、制作にも時間がかけられているんです。
デメくんは私が生まれて初めて見た本物の「巨大ロボット」でした。実際にはロボットと言うよりも建築物に近くて、感情移入も難しいデザインですが、そこがまたリアリティがあって、大好きでした。ロボット博覧会の開会式でジャンボに花束を渡し歌を歌う幼い頃のミドリ先生は、まさに私の分身です。万博閉幕後「デメくん」がどうなったのか、実は私は知りません。むしろそのエピソードのモチーフにしたのは1975年の沖縄海洋博で夢の海上都市といわれ花形であった「アクアポリス」のその後の話です。2000年10月に地元自治体から米企業に売却され、中国でスクラップにされたというニュースを聞き、万博ファンの私は寂しくなりました。万国博というのは私にとって期間限定で出現する未来であり夢の都市です。そして、ロボットや海上都市というものはそのシンボルでした。それが博覧会終了後、それが本来あるべきでない日常の中で風化し錆び付いて、最後はスクラップになるというのはいたたまれません。
スクラップにされるため曳航されるアクアポリス「よみがえったジャンボ」はそんな私の想いをたっぷり込めたエピソードです。そう考えると、実はジャンボはどうしてもロボットである必要はなかったのかもしれません。むしろ大切なのは人間が対象に込める思いであって、機械に心があってもなくても、そこに思いを込める人間がいれば、その人にとっては魂を持ったものになる、と。このテーマは「心を持ったロボット」をテーマにした今回のシリーズではかなり異色ですが、一本ぐらいそんな話があってもいいかなと思います。
さて、そんなことを思いながら、実は「デメくん」のことをあまり知らないなぁと思った私は、せめて設計者だけでも知りたいと思い、ネット上で検索をかけてみました。ところが「デメくん」で探してもほとんど情報がなく、最初に出てきたのはヤノベケンジという名前でした。このヤノベさんという人は、65年生まれで私と同世代であり、幼い頃に見た万博のイメージが忘れられず、オマージュを捧げる作品などを制作している芸術家です。下の画像が、彼が作ったアレンジ板の「デメ」。印象をもとに自分の中で再構築したものですね。名前も同じケンジだし、ちょっと親近感を覚えます。やっぱりいるんだなぁ、こういう人って感じ。
このヤノベケンジが昨年、オリジナルのデメくんの設計者と共同展を開いていて、ここでようやくその名前を知ることが出来ました。磯崎新さん──調べてみると、この方は押しも押されもせぬ日本建築界の重鎮でありまして、大分県立中央図書館、群馬県立近代美術館、つくばセンタービル、ロサンゼルス現代美術館などの代表作の他、70年万博ではテーマ館のプロデューサー(代行)を勤め、お祭り広場の装置全般を担当していました。興味を持って、磯崎新の作品=建築物を調べてみると、出るわ出るわ、未来的、先鋭的な建築物のオン・パレードです。そして、ついに見つけてしまいました。水戸芸術館。これこそあの奇怪な塔を擁する施設であり、その設計者は──磯崎新! なんということでしょう。知らないうちに、彼の作品に心を引かれキャプチャーしていた自分って。30年の歳月を経て、私は建築家・磯崎新の手のひらの上で踊らされていただけなのか……(笑)。無自覚なうちに自分の根っこの部分に影響を与えた人物を、一人捉えることが出来たような、そんな楽しい体験でした。いつか行ってみたいと思います、水戸芸術館。
06.19 三人で?!![]()
このところのコヌラボは告知記事ばっかりで、なんかタイアップ専門サイトみたいですが、その理由としては、デジカメが修理中で、オリジナルの画像が作れないということがあります。前回みたいにスキャニングできるものか、今回のようにネット上の別のサイトから画像を引っぱってこられるネタしか書けないというのが辛いところ。早く直らないかなデジカメ。ていうか、サイト用の画像だけなら最近のカメラ付き携帯の画像で十分なんだよなぁ……。携帯買い換えたろか。
といいつつも、今回のネタは画像のあるなしにかかわらず絶対に紹介しようと思っていたお芝居のお話。劇団・鳥獣戯画の看板俳優、ちねんまさふみ、石丸有里子に赤星昇一郎を加えた3人の芝居『三人でシェイクスピア』。お仕事でご縁があった赤星さんに誘われて拝見したのですが、わずか97分の間にシェイクスピアの名作全37作品を凝縮してすべて見せてしまおうというスラップスティックパフォーマンスです。特に後半の舞台と客席が渾然一体となったノリは小劇場演劇の楽しさを満喫させてくれます。お芝居に興味のある方はぜひどうぞ。1ヶ月に2、3日間という変則的なロングラン興業で、次の公演は7月の6日・練馬区光が丘IMAホール、7月11、12日・新宿南口プーク人形劇場です。その後、8月、9月も公演が予定されているので、来月予定が合わない人でも大丈夫。詳しくはチラシをClickして鳥獣戯画のサイトをどうぞというこれまたいつものパターンですが(笑)。
もうそろそろ公式発表になるのかな? 今執筆中のシナリオの仕事で、赤星昇一郎さんに出演していただいています。赤星さんといえば、私が大学時代に一世を風靡した深夜番組『ウソップランド』by怪物ランドの頃からの大ファンであり、自分のシナリオ作品に出演してもらえるということには格別の感慨があります。『ウルトラマンティガ』では郷田ほづみさん、平光琢也さんが共演し、赤星さんも出演されていて、怪物ランドのファンとしてはちょっとしたお祭り気分でした。いつまでも怪物ランドのイメージで赤星さんを見ていてはいけないなと思いつつも、またいつか3人の共演も見てみたいなと思ってしまうのがファン心理ですね。ともあれ、まだ詳しいことはお話しできませんが、新しい作品での赤星さんの快演を楽しみにしていて下さい。
06.17 TIE-UP![]()
蒸し暑い日が続いています。あんまり暑いので近くのスーパーに飲み物を買いにいったらこんなものを見つけました。テレビシリーズがないので告知が難しいかなと思っていたのですが、こういうタイアップ商品が出回ると、映画特有のお祭り気分が盛り上がってきていいですね。『ウルトラマン伝説』のを含め、全3種かな。あれ……ホントはボトルキャップのオマケがあるんだ……もらい忘れたかも……(^^;)。
作品の方も先日試写で拝見したのですが、デジタルエフェクトが効果的に使われていて、バジェット以上のスケール感のある快作に仕上がっていました。なんといってもフッキーがいいんですよ、フッキーが! 杉浦太陽の人柄も手伝って、春野ムサシが優等生すぎるというのが良くも悪くも『ウルトラマンコスモス』のカラーでしたが、そこに吹石一恵が演じるタカ派でクールなヒロインが絡むことで、スパイスが利いて非常にいいバランスです。これなら、テレビシリーズにもジャスティスが出てきて欲しかったなぁと思うぐらい。これが男性だと『ガイア』のときの藤宮=アグルと似てしまうんですが、女性であることで新鮮な魅力がありました。あと、変身前のフッキーに感情移入して観ていると、不思議なことに変身後のジャスティスもどことなく女性っぽく見えてきます。いっそのこと、ジャスティスの変身前は吹石一恵をフィックスにして、ジャスティスそのものをデザインも変えて女性キャラに……というのは無理な話かしらん。
あ、あと話題のウルトラマンレジェンドですが、私は格好いいと思います。あれぐらい思い切ってイメージを一新しないと、なかなか新しいものはできませんよね。なんたってウルトラマン、延べでもう30人以上いるわけですから。『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE』は8月2日(土)全国松竹系にて封切りです。みんなで観よう!
06.16 HURRICANE![]()
『宇宙船』の仕事から足を洗ったといいながら、実は割と最近までこの本を作っていました(汗)。ファンタスティックコレクション『忍風戦隊ハリケンジャー/免許皆伝』。私はメインのライターではなかったのだけれど、とにかく取材が多くて文字数も多くて、非常に手間のかかった本です(^^;)。特撮ライターをかれこれ10年以上もやってきたけれど、一番苦戦した本かも……。しかし、手間がかかっている分、読み応えは十分と自負しています。特に後半のスタッフインタビュー! 脚本、監督陣をはじめとしておもだったスタッフにはすべて談話をいただきました。そのどれもこれもに『ハリケンジャー』という作品への愛情があふれていて、その愛情こそがこの作品の魅力の源泉だったということが浮き彫りになっていると思います。脚本家のみなさんへのインタビューでは、私自身も同業者として非常に勉強になるお話が聞けました。まあ、取材をしながら勉強しているというのもどうかと思うけれど、駆け出しなのでその辺はご勘弁を(^^;)。
もちろん、キャラクター紹介、ストーリーガイド、キャストインタビューなども充実。後楽園レポートや劇場版エンディングの振り付け図解などお楽しみ企画も満載で、これぞファンコレ!という一冊に仕上がっていると思います。余談ですが、この本を作るとき、「ファンコレらしいファンコレを作ろう」ということをひとつのテーマにしました。しかし、よく考えてみると昔のファンコレ(例えば先日復刻された『宇宙刑事』のとか)ってフィルムストーリーが中心だったり、写真集形式のグラフィティがあったりで、「番組のすべてを完全網羅」という造りのものは少ないんですね。最近の傾向でいうと、小学館の『超全集』シリーズはオールマイティなんだけど、ファンコレというのはそういうものではなくて、切り口を決めて一点突破という体裁の本が多いことを改めて感じました。どうもファンコレ=特撮ムックの決定版という印象があるけれど、そうではないし、特に現在、『宇宙船』のシステムではそういう本は作りにくいのだということを痛感した今回の作業でありました。とはいうものの、この本に関してはとにかくこれ一冊で(欲を言えば『宇宙船』綴じ込みのイヤーブックも併せれば(^^;))『ハリケンジャー』のすべてがわかるという本になっています。『ハリケンジャー』のファンのみならず、戦隊シリーズが好きで、それがどのようにして作られているのかに興味のある方はぜひご一読下さい。朝日ソノラマより本体価格1900円にて発売中です。
06.12 Coming soon !
梅雨入り、ですねえ。太陽光線をエネルギーとしている私としては鬱な季節がやってきました。雨嫌い。空梅雨で水不足というのも困るとは思うけど、なるべく降らないといいなぁ。野球もできないし。
上のチラシは今週末(6月14日)から公開される『KILLERS』という映画。殺し屋を主人公にした5本の短編からなるガンアクション・オムニバスです。現在ある作品で私が大変お世話になっている脚本家の大川俊道さんをはじめ、押井守、きうちかずひろ、河田秀二、辻本貴則という5人の監督がそれぞれ個性的な作品を仕上げています。私は大川さんが担当した『CANDY』のみ観たのですが、二人のヒロインが激突するガンアクションがたいへん見応えがあります。あと、いろいろ話を聞くと押井監督の短編もすごく面白そう。お勧めです。東京ではテアトル池袋で公開。詳しくはチラシの画像をClickして公式サイトの情報をどうぞ。
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掲示板に応援書き込みをしてくれる方もいたりして、ちょっと早いけどそろそろ告知をしてもいいかなと。アニメ誌を読んでいないのでわからないのですが、もう発表になっているんだよね。
私がシナリオを担当した『ASTRO BOY 鉄腕アトム』第12話『よみがえったジャンボ』まもなくON AIRとなります! 関東地方では6月22日(日)朝9時30分よりフジテレビにて。その他の地域は放映時間が異なりますので、左下のバナーから飛べる公式サイトにてご確認下さい。
実はアフレコ台本では第9話になっていまして、つい最近まで何話に変更されたのか知らなくてちょっと気を揉んだのですが、無事に放送されるようでホッとしています。詳しい内容はもちろんまだお話しできませんが、とりあえずアトムの担任であるミドリ先生(→)が大活躍するストーリーとだけ申し上げておきましょう。ミドリ先生のファンの方、必見です(笑)。
あと、登場キャラクターの雰囲気などから、ある作品に似ていると絶対いわれるだろーなーと思っているのですが、自分としてはその作品は全然意識していなくて、まったく別の動機から書いた作品だということも触れておこうかな。それについては放送後に詳しくお話ししましょう。と、こういう思わせぶりなことを書いておくのもちょっとは宣伝になるかなーと(笑)。
とにかくまずはご覧になって下さい。テレビアニメとしては抜群のクオリティー、面白さは保証いたします!Tezuka Productions/SPEJ
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あとね、どうも私の周辺は特撮ファンが多いせいか、観ている人間が少ないみたいでショボーンなんですが、『TEXHNOLYZE』メチャメチャ盛り上がってます。確かに早朝27時28分という時間帯はリアルタイム視聴には辛いかもしれないけれど、ぜひご覧になって下さい。今のところ第9話までが放送されていますが、設定などは公式ページでフォローされていますからそれを読めば大丈夫。今からでも遅くありません。ちなみに私の最初の担当回は第15話です。
左の画像はGacktによるエンディングテーマ『月の詩』、NOW ON SALE! ご覧のようにキャラクターデザイナー安倍吉俊さんのイラストでGackt本人がテクノライズされていたりしてもうノリノリ。嬉しくなってしまいます。CMもすごいよ。いい歌なので、こちらもぜひ。
06.03 Stingray
これまたネタとしては今さら感漂いまくりのコナミのITCメカシリーズ(というくくりで良いんだっけ? SFメカという言い方は漠然としているというか他人行儀という気がして(笑))からスティングレイ。以前TB4を紹介したので、そのときにも書いたかもしれませんが、私の世代は少年時代を今井のサンダーバードのプラモで過ごしているので、このシリーズは涙ものです。当時は模型雑誌などもなく(あったけど購読する年齢ではなかったし)こんなに見事な作例は雑誌の広告などで見かけるだけでしたが、自分ではとても無理な美しい彩色に憧れていたものでした。それが今ならちょっとした小銭で手に入るんだから大したものだよなあと、すっかりノスタルジーに浸ってしまったりして。
スティングレイといえば、特筆すべきはその主題歌でしょう。『謎の円盤UFO』も格好いいけれど、スティングレイの主題歌も鳥肌が立つぐらい格好いいものです。サントラ買わなくちゃなぁと思います。
まったく別の話になりますが、テレ朝の深夜番組で『虎ノ門』というのがありまして、その中で物知りのタレントさんが蘊蓄を競い合う企画が最高に面白かったりします。そこで松尾貴史か伊集院光だったかが語っていた蘊蓄で、NHKではニュースでゴールデンウィークという言葉を使わない、というのがありました。有名な話ですが、ゴールデンウィーク=黄金週間という言葉は永田ラッパで有名な大映の永田社長が、映画に客を呼ぶためのキャッチフレーズとして考案した言葉であり、一企業の宣伝文句であるから、NHKでは一切使わない。かわりに「大型連休」という言葉を使っています。まあ、来年のGWまでには間がありますが、憶えていたら気をつけて見てみてください。
で、最近それと同じようなことが行われているのに気がつきました。今流行っている新型肺炎を、NHKのニュースだけは絶対に「SARS(サーズ)」と言わないんですね。民放のニュースでは普通にSARSと言っていますが、NHKだけは頑なに「新型肺炎」です。これが何でなのか、理由はよくわからないんですが、そういう通称とか略称を使うのを敬遠するのかもしれません。
そうするともしかして、もしウルトラシリーズの世界にNHKがあったとしたら、やっぱりMATとかMACといわずに「今日未明東京湾に怪獣が現れましたが、怪獣攻撃隊によって上陸が阻止されました」とか「宇宙パトロール隊の活躍により……」とかいうのかなぁ……と思ってみたり。かえって分かり難いよなぁ……(笑)。