06.19 見たんかい?


おっきいソフビシリーズ・ジャイガー。
『ガメラ対ジャイガー』は子どもの頃に見て、大変大きなインパクトを受けた作品です。
ジャイガーもその頃から大好きな怪獣の一匹。
最近買ったこのソフビは、こうして写真に撮るとまるで実物もかくやの迫力がありますね。
 今回、写真と本文はまったく関係がありません。まあ、いつものことなんですが(^^;)。

 

 ワイドショーなどを見ていて、そこまで事件に首を突っ込む必要があるのかと疑問に思うことはありませんか?

 社会に影響の大きい凶悪犯罪や、権力者の不正などを除いて、事件と呼ばれるものの多くは当事者にしか関係のないものがほとんどです。マスコミで報道され、事件があったことを知らなければ、私たちの生活には何の影響もありません。それが報道されることの価値というものは、極論すれば、フィクションと同じように、娯楽であったり、人々の好奇心を満たすためのものでしかありません。

 ここからはあくまでも『可能性』の話です。

 犯罪を扱ったドラマの多くは、犯罪者とされるものの側に止むに止まれぬ事情があったり、『悪』と見なされる行為が実は別の意味を持っていることを描いています。また、私たちはそういう作品を通じて、警察やマスコミの報道が必ずしも正しいわけではない(正しくない場合もある)ということも知っているはずです。それならば、ドラマを愛する人間として、われわれは現実の事件に対しても、そういう想像力を働かせることが出来るはずです。

 杉浦太陽くんの事件(これだけ情報が広まっている以上、名前を伏せることはばかばかしいと思います。また、罪も刑も確定していない現時点で、彼を呼び捨てにする必要性も、私は感じません)について、ネット上でも様々な意見が交わされていますが、現時点で事実として報道されていることだけを判断材料にして彼の人格まで攻撃する意見が多いのにうんざりします。

 私もシナリオライターの端くれですから、例えば今回事実として発表されている要素をすべて盛り込んだ上で、すべての観客が犯罪を犯したとされる主人公に対して同情したくなるようなシナリオを書けといわれれば、書くことが出来ます。一方で、主人公を凶悪な犯罪者に仕立て上げることも出来ます。今の段階で報道されている事実というのはその程度のことです。当事者同士の間で何があったのか、いかようにも想像できる程度の条件でしかありません。

 誤解して欲しくないのは、私はここで杉浦くんへの同情を乞うつもりはありません。彼に罪がない可能性があるのと同じ分だけ、彼が凶悪犯である可能性も確かにあります。私がいいたいのは、そのどちらが真実なのか、まだ私たちには判断材料がないのに、無責任に意見を言わない方がいい、ということ。前回のコラムで書いた『静観しよう』というのはそういう意味です。問題は意見を言う側の人間性です。

 もちろん、彼の逮捕を受けて番組は放送中止になったわけで、番組を楽しみにしていた人間としては自分は被害者なのだと主張することは出来るかもしれません。しかし、テレビ局も、記事を差し止めた出版社も、事件そのものを受けて、判断を保留しているだけであり、杉浦くん個人の罪を認めたわけではないのです。裁判も行われていない今現在、番組が放送されない、その責任が誰にあるのか、現時点では確定していないのです。

 もちろん、傷害、恐喝、逮捕という言葉を単純に並べられれば、悪いヤツと思うでしょう。知り合いと世間話をするだけならそれでもかまいません。しかし、ネットという、大袈裟にいえば全世界に開かれたメディア上で意見を言う上で、十分な事実確認もなく、印象論だけで、一人の人間の人格を否定するのは無責任に過ぎるということです。『ウルトラマン』という想像力の精華を愛する人間を自負するならば、今はその自分の想像力が試されているのだということを自覚すべきと思います。


06.15 Quick Silver

 

 おかしいなあ……前回の更新からいつの間に10日も経ちましたか?

 実は月曜日に祖母が亡くなりまして、葬儀のために母の郷里の三重県に行ってきました。私はおばあちゃんにとっての初孫で、小さい頃から大変可愛がってもらったので、もちろん悲しかったけれど、享年91歳ですから天寿をまっとうした上での大往生ですよね。むしろ、長生きしてくれたことに感謝しています。

 その日は大洋ホエールズの看板打者で、天秤打法で知られた近藤和彦さんの訃報も届きました。私が所属する草野球チームのひとつであるライターズで着けている背番号26は、同じ大洋のスラッガーだった田代富雄選手リスペクトなのですが、その田代の26こそ、近藤さんから引き継いだものであり、大洋ホエールズの看板打者の背番号なのです。現役時代は知らないけれど、コーチや誠実な話しぶりの解説者としての近藤さんはよく知っていますし、その死を残念に思っていました。

 帰りの新幹線の中で、こんどはナンシー関の訃報が。こちらはまだ39歳、食事の後タクシーで帰る途中での急死ですから、身につまされます。

 最近訃報が多すぎますね。年齢、死因などは本当にさまざまで、そのこと自体に意味を見いだそうとは思っていませんが、気が滅入ります。ワールドカップで盛り上がっているけれど、それ以外のニュースに耳を澄ませると、実はいいことなんてひとつもないのではないかと思います。

 さて、そんなこととは関係なく、数年ぶりに新しいMacintoshを買いました。

 G4 800Mhz 通称“Quick Silver”、史上最速Macの最廉価ヴァージョンです。これでUSB接続の周辺機器も使えるし、DVDも見られるし、CDも気軽に焼ける。なにより、いろいろ不具合が起きてきたOS8.5.1とおさらばできるというわけですが、プリインストールされているAppleご自慢のOS Xはやっぱり使いづらくて、OS9.2で起動しています。Xへの乗り換えは、もうすこしアプリケーションが揃ってからだな。

 

 悪い知らせといえば、これ以上ないバッドニュースが飛び込んできましたね。詳細を知らないので何も言えませんが、世の事なかれ主義やスキャンダラス趣味には辟易します。作品が好きならこういうときは敢えて静観しようじゃありませんか。まあ、仕事で携わる私のような立場ではそうも言っていられないのだけど、少なくとも軽はずみに騒ぐような態度だけは慎みたいと思っています。


06.04 海底2万マイル 

 明日、とかいいながらずいぶん間が空いてしまいました。
 まめに更新しないとハーボットのげすらがお腹を空かせるので、早くしなくちゃと思いつつ。うちのげすらはチョコレートじゃなくて、更新されたデータを喰うらしいんですよ。まあ、怪獣としてはこのご時世にあった食性で、それはそれでネタとしてアリ……って、なんの話なんだか。

 そうそうTDSのお話でしたよね。前回の写真は実はオフィシャルページからのパクリだったんですが、上の写真は自分で撮ってきたものです。かあっこいいよね、ノーチラス号。潜水艦だけじゃなくて、それが停泊している火山島の入江らしきロケーションがまた最高。とにかく、TDSというところは、この人工の景観を楽しむところなんです。特に園のほぼ中心に位置するこの火山島=ミステリアス・アイランドは、外界から完璧に遮断された閉鎖空間であることや、スチームパンクな建造物のデザインがイカしていて、指折りの絶景です。時折、頭上の火山島の火口から轟音とともに炎が舞い上がるのがなんとも言えません。余談ですけど、この辺りの建築物のデザインがベストセラーゲーム・ミストシリーズの雰囲気そのままで、嬉しくなっちゃいます。

 私の場合、TDLの方でも一番感心するのはアドヴェンチャーランドあたりの作り込みの芸の細かさなんですよね。チャイナボイジャーが好きなのも、あの辺の景色が遊園地の中とは思えないほど、さりげなく異国情緒を醸し出しているからで。その点では、景観の美しさ、作り込みの徹底ぶりはTDLよりSの方が上かもしれません。
 目玉商品であるインディージョーンズライド周辺は、インドネシアあたりのジャングルの雰囲気なんですが、まあ、その凝っていること。なんというか、あるべきものがちゃんとそこにあって、インドネシアのジャングルならではの生活感がにじみ出ている。
 こういうのって、どうすれば作れるんだろうといつも思うんですが、おそらく写真か、デザイナーが描いたコンセプトアートが最初にあるんだと思います。そこに樽だとかボートだとか、積んであるバナナ、それにたかっているクモなどがちゃんと描かれていて、実際に作るときにはそれを全部再現する。

 たとえば、水上に設えられた小屋、その支柱にトタン板のカバーが巻いてあってすごく良い感じなんですが、もちろんそれがなくても遊園地としては何も支障がないわけです。日本の頭の悪い設計者なら、それを巻くための数十万円であろう予算をケチるかもしれない。「なくてもいいじゃないか」と。けれど、そうやって妥協していくと、結局つまらない遊園地になるんです。遊園地でしかない遊園地。TDSの場合、コンセプトアートに描かれているものはとにかく全部作る。ひとつでも欠けたら、そこで異世界のリアリティというか生活感が失われる、それがわかっているのというのはすごいなあと思います。さすがネズミ王国、エンターテイメントのなんたるかをよく知っている。

 でも、それが出来るのはやっぱり圧倒的な資本力があるからなんだなと思うと、ちょっと悲しくなります。あと、TDL20年の実績だよね。日本の遊園地が立ちいかなくて次々閉鎖されているこのご時世に、こんな贅沢なものが作れるなんて。

 で、もってさらに振り返ると、例えば日本の商社や一流証券会社にとって、100億円とかって一瞬で動かしているお金……なんでしょ。ないワケじゃないんだ。でも、それをエンターテイメントに投資しようとは思わない。なぜかというと、日本にはエンターテイメントで確実にお金を稼ぐノウハウがないから。それは、映画会社が社運をかけるような大作映画に限ってつまらなかったりするところに現れています。お金のかけ方というのがわかっていないんでしょう。なんとかならないかなあ。その点例外的に、このところの日本の特撮映画は日進月歩で面白くなっていて、今だったらお金をかければ、かけただけの面白いものが出来る気がするんですが……。

 TDSで遊びながら、こんなことばかり考えてしまいます。曲がりなりにもエンターテイメントの仕事に関わるものの端くれとしては「面白いもの」というのは多かれ少なかれ商売敵ですからね(笑)。

 さて、今回の「スキあり」ですが、パークのデザインでは歯が立たないものの、実はアトラクションの方は隙だらけだったりしますTDS。なにしろこの「海底2万マイル」は酷かった……。当然ノーチラス号に乗れるものだとばかり思っているのに、小さな潜行艇みたいなものに6人単位で詰め込まれ、まずそこでがっかり。出発すると、窓から海底の景色を眺めるんだけど、暗くて何も見えません。こういう見せ物の場合、思い切って暗くして、見せたくない部分を見えないようにするのはいいと思うんだけど、いかんせん暗すぎて、「見た」という満足感がない。終わってから、今のは何だったの?って感じです。個人的には大王イカが見られなかったのがどうにも不満で。正面の窓からは見えたのかもしれないが、側面からはゲソしか見えなかったぞ! TDSに何を見に来たかといって、大王イカを見に来たといっても過言ではないというのに(ちょっと嘘)。

 他のアトラクションの中には、まあまあ面白いものもあって、それについても書きたいんですが、ちょっと脱線が長くなりました。以降はまたの機会ということで。